トップメッセージ

代表取締役社長 森田健司

藤倉コンポジット株式会社
代表取締役社長執行役員
森田 健司

平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
第146期は国内におけるインフレ、人手不足、金利上昇などに加えて、トランプ米大統領による高関税政策が追い打ちとなり、先行きの不透明感が高まっています。
このような中、当社は「稼ぐ力の強化」と「新成長戦略」をテーマに掲げ、2025年4月からスタートした第7次中期経営計画を達成するべく、着実に取り組みを進めてまいります。
株主の皆様には引き続き、変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。

「第6次中期経営計画」5年間の総括と、各事業の進捗について

2025年3月期まで5カ年とした「第6次中期経営計画」では前半を回復期、後半を成長期と定義し、営業利益率平均10%以上を主要指標として改革に取り組んでまいりました。回復期は売上1,070億円、営業利益率9.1%、成長期では売上1,200億円、営業利益率10.7%となり、順調に成長を続けているものの、市場の回復の遅れや当社の価格転嫁の遅れが重なリ、十分な回復には至りませんでした。

当社の売上の半分以上を占める産業用資材セグメントの中で、特に国内の工業用品部門については、製造コストの増加も相まって価格転嫁が進まず、稼ぐ力の強化が大きな課題となっております。
ベトナムの工業用品部門については、赤字が続いておりましたが、現場力向上のおかげで、昨年から黒字化いたしました。この黒字化を今後も継続していくことが重要なテーマだと考えています。
国内外の工場につきましては、稼働率に合わせたキャパシティにしていくこと、そして新たな事業展開を進めることが重要です。

制御機器部門については2025年4月に原町工場の生産を小高工場に移転しました。使用する材料の金属は温度変化によって歪みが生じたり、伸縮する性質があるため、小高工場内に温度管理が可能な工程を作り、ここで新たな切削加工や組み立てなどを実施します。これまで当社は除振台のみを製造しておりましたが、同工場で除振台を含む構造体の組み立てまで実施することが可能となりました。
また、クリーンルームを備える原町工場では各種医療用部素材を生産しています。高齢化社会に向けた市場の準備として、国内初となるワクチン生産のための部素材を当社で製造しております。今年から来年にかけての伸びしろが期待できます。

引布加工品セグメントでは、加工品部門において、国土交通省が改良型救命いかだなどの積み付けを義務化することから、新たに改良型救命浮器を設計開発いたしました。すでに数多くの受注をいただいており、今年から本格的な生産および出荷を開始しております。

スポーツ用品セグメントではゴルフ用カーボンシャフト部門が順調に成長しています。国内外のプロツアーで高い使用率を維持し、当社の市場シェアはプロ選手からアマチュアの方を含め、世界シェア50%を超えると推定しています。この成功に甘んじず、今後も材料や製法を研究し、コンポジット技術を活かした当社にしか提供できないシャフトを追求してまいります。

成長分野への経営資源の再配分の進捗状況について

成長分野への投資として、稼ぐ力の強化に中長期で70億円、新成長戦略として45億円を予定しています。
次世代自動車用部材として、EVで使われている「フレガード」という製品があります。車載用リチウムイオンバッテリーの過熱時に熱膨脹するゴム材料で、火災の延焼を抑えるなど安全対策に用いられます。EV化のスピードについては、世界的な鈍化が見られますが、この流れが止まることはないと考え、成長戦略の中で取り組みます。
半導体製造装置、液晶製造装置などに必要とされる精密な除振設備については20億円超の投資を行い、前述の小高工場での展開を進めています。
また同工場では、再生可能エネルギー活用の一環として、CO₂フリー電力活用や太陽光発電設備導入など,環境負荷低減およびカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを積極的に推進してまいります。新成長戦略への投資としては、国内外含めシナジー効果が見込める企業と提携し重要度の高いものをピックアップし、進めてまいります。またM&Aについても随時検討をしております。

株主の皆様へ

2025年4月から新たにスタートした「第7次中期経営計画」については3カ年での実施となります。
初年度の147期は資本コストのターゲットを事業ごとに数値設定し、株主様からお預かりした資金をより有効に活用し、収益改善を大きなテーマに取り組んでいます。
株主還元については1株当たりの年間配当額54円を下限に株主資本配当率(DOE) 4%以上の配当を実施する予定です。また昨年からスタートした株主擾待も大変ご好評をいただいております。
当社は今年、創立124周年を迎え、長い歴史がございますが、ここでさらにトランスフオーメーションにアクセルをかけ、変化し続ける社会の、さらに先んじる存在になるべく努力してまいります。
株主の皆様には引き続き厚いご支援とご指導を賜りたく、お願い申し上げます。