環境 -自然と社会の調和-

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自然との共生

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資源循環

再生可能エネルギーの導入

生産活動に使用するエネルギーを大きく分類すると、Scope1(蒸気)とScope2(電気)になります。これらのエネルギーを生産性向上や省エネ活動により削減する活動を進めてきました。設備更新時の省エネタイプの選定や、日々の生産活動の中でのムダなエネルギーの改善・見直しなどの省エネ活動を実施しています。また事業内容の見直しで使用エネルギーの削減も行い、Scope1、2が減少しました。さらに今後は、現在購入している契約電力の一部に再生可能エネルギーを含めた購入電力に変更することも脱炭素の活動と考えています。
2030年度に2013年度比46%削減を達成し、さらに2050年度に向けた取り組みにおいては、Scope2の再生可能エネルギー活動だけでなく、Scope1の削減も必要となるため、従来取り組んでいる省エネ活動についても引き続き実施していきます。

太陽光発電設備の導入

GHG排出量の削減活動の中で、Scope2の間接排出量削減の活動は、2030年度までの46%削減目標につながる重要な活動です。特に再生可能エネルギー・低炭素電力の導入はScope2の削減において重要な活動と考えています。契約電力の一部に再生可能エネルギーを含めることに加え、自家消費型発電設備(太陽光発電設備)の保有についても検討を開始しています。工場内に設置できないかなど、オンサイトPPAモデルでの太陽光発電設備の導入を考えています。工場で使用する電力を全て自家発電型の太陽光発電設備でカバーすることはできませんが、設置による投資回収メリットや昼間の電力負荷の低減にもつながるため、今後も太陽光発電設備の設置に向けて検討していきます。

最終処分量(産業廃棄物)の発生抑制

一般社団法人日本ゴム工業会の削減目標は、「2025年度までに2001年度比最終処分量を95%以上削減する」ですが、当社は産業廃棄物の集計を2005年度より開始したため、日本ゴム工業会の了承を得て、「国内において2025年度までに2005年度比最終処分量を95%以上削減する」を目標としています。この削減目標に対して2024年度の実績は99.1%削減となり、2005年度比では目標達成となりました。
一方、毎年設定している最終処分量の目標値に対しては、年度初めに予定していた量よりも最終処分量が増加しましたが、目標値以下で管理することができました。
また自主的に設定している総廃棄物量に対する最終処分量の割合(最終処分率)も、目標1.0%以下に対して0.92%となり達成となりました。
3R活動は継続中でそれまで不燃物として埋立処理していたものを、2024年度はサーマルリサイクルおよびマテリアルリサイクルにすることができました。今後も最終処分量の削減やリサイクルの促進に取り組みます。

資源循環の図

化学物質

VOC(揮発性有機化合物)排出量の削減

製造初期工程で使用しているゴム糊は、有機溶剤を使用してゴムを溶解していますが、製造中間工程では、この有機溶剤は除去され、大気にVOC(揮発性有機化合物)ガスとして放出されます。このVOC排出量の集計では、有機溶剤の購入量と廃液としての移動量を調査することで管理しています。
VOC排出量の削減目標は、「2000年度比50%以上の削減」で、2023年度に続いて2024年度も目標達成となりました。2023年度以降、有機溶剤を使用して生産している一部の製品が生産終了となり、有機溶剤使用量が大きく減少したことでVOC排出量は減少しました。
VOC排出量は大きく減少しましたが、PRTR制度での報告は必要な取扱量であるため、集計は継続しています。最近の管理では購入量だけではなく、生産に使用する量を集計する方法も並行して実施しています。毎月生産に使用した原料の有機溶剤含有量と産業廃棄物として移動した有機溶剤量から計算することでVOC排出量を求めて、VOC排出量の管理強化に活用しています。

化学物質の管理と環境負荷物質について

2022年度以降、新たな化学物質規制として労働安全衛生法の関係政省令が改正され、ラベル表示・SDS通知・リスクアセスメント実施の対象物質が順次追加されています。今後これらに対応するため、該当物質の濃度基準値の評価や化学物質管理者の選任などに取り組んでいきます。

化学物質の管理と環境負荷物質についての図

生物多様性

生態系の多様性の取り組みとして、「鎮守の森のプロジェクト」と「海ごみゼロプロジェクト」へ参加しています。生産活動においては生物多様性に配慮した対応を実施し、エネルギー利用の最適化、原材料調達における環境負荷対応、大気へのVOC排出量の低減、水の保全、廃棄物の分別とリサイクルなど、サプライチェーン全体において生物多様性の保全を進めています。生産活動で事例として、梱包材に使用する一部の原料を植物由来にすることで負荷低減をしています。
今後も、森林と海の環境保全や環境負荷の低減に向けて取り組み、生物多様性と自然資本の保全活動を推進していきます。

生物多様性保全のプロジェクトの写真 生物多様性保全のプロジェクトの写真

取水と排水

国内工場で使用している水は上水と地下水です。上水は、工場で生活用途と生産工程の両方で使用しており、その使用量を定期的に管理することで、異常箇所を早期に発見し、無駄な水使用を防止しています。地下水は各生産拠点地域において重要な資源であるとの認識のもと、取水量の削減活動として、製造工程での冷却後の水は循環水として工場内で再利用しています。そのままでは水温が上昇するため、クーリングタワーで冷却して使用しています。さらに特定の生産設備にはチラー設備があり、冷却されたチラー水の補給や排水のないクローズドな冷却水の循環ラインとして生産設備で運用しています。
排水側では、定期的に下水排水の分析をしています。採取した排水を外部業者が分析し、pH、COD、BOD、SS、窒素およびリン含有量などの分析結果の計量証明書を受け取っています。その他の製造工程から出る廃液は容器に入れ、産業廃棄物として廃液処理できる外部業者に処理を依頼し、運用・管理しています。
2024年度はCDPの気候変動と水セキュリティについて回答し、気候変動はスコアB、水セキュリティはスコアCとなりました。今後も環境への取り組みのレベルアップを図り、CDPの回答内容も充実させていきます。

環境コミュニケーション

直近では2023年3月に当社岩槻工場にて「環境コミュニケーション」を開催し、当社が取り扱っている化学物質などに関する情報、岩槻工場の事業内容、環境への取り組み状況を工場内の見学と合わせて説明しました。環境への取り組みとしては、VOC(揮発性有機化合物)排出量やGHG排出量の推移、産業廃棄物の分別や最終処分量の削減状況、具体的な省エネの活動を示し、それぞれの目標の達成状況を説明しました。法令に基づく各種測定値では規制基準を遵守していることも説明し、環境負荷低減や地域の環境保全の活動状況を確認いただきました。最後に意見交換を行い、当社の環境に対する取り組みを近隣の方々により深く理解していただくことができました。
今後も「環境コミュニケーション」を工場の環境への取り組みを説明する機会として位置づけ、情報開示を行っていきます。
環境コミュニケーションを住民・事業者・行政が環境に関する情報を共有する重要な意見交換の場と捉え、有効に活用できるよう、埼玉県で環境コミュニケーション研修会を実施しています。この研修では、講師による講演や模擬環境コミュニケーションなどを行っており、当社もこの研修会(2025年2月実施)に参加して、環境への取り組みに役立てています。
工場周辺の住民との交流の一環として、2024年11月にさいたま市の岩槻工業団地事業協同組合主催の「彩の国オープンファクトリー2024」に参加しました。他企業の工場見学をし、製品を知ることができました。

工場見学の写真 意見交換の写真 工場見学の写真